ちべっとサンデー【ドキュメンタリー映画2作品同時上映】@いずみホール 2010年6月13日(日) since 2017-10-14

『ちべっとサンデー』@国分寺いずみホール

風の馬

自由への祈りを風の馬(ルンタ)に乗せて

   誰も描けなかったチベットの現実がここにある!



北京五輪開幕時に起きた大規模な抗議運動により、
世界が知ったチベット問題。

世界中から注視されているチベットには、報道規制により、現在外国からのカメラが入ることは許されない。『風の馬』は1998年に、チベットのラサやネパールで監視の目をかいくぐり撮影された劇映画である。本作は、実話をもとにチベット問題を真正面から捉えた衝撃作として、世界各地で上映され芸術的な賞賛と政治的な論争を呼んだ。ここに描かれていることは、今も変わらないチベットの現実である。


ポール・ワーグナー私たちがどうやって『風の馬』を撮影したかを話すと、多くの人が劇映画を撮るにしては驚くべき話だと言う。キャストやクルーにとっては、事実あらゆる点からして生涯に一度あるかないかの体験だったが、その一番大きな理由は、『風の馬』がチベットとネパールの国内で、監視の目をかいくぐり撮影されたということだった。チベット国内で秘密裏に撮影をするのがどれほど危険だったことか。もし見つかったら、それは映画制作の終わりを意味しただろうが、投獄されることはないと考えていた。しかし、撮影を支援してくれたラサに住むチベット人たちはそうはいかなかっただろう。だから、残念ながらこの映画のために一生懸命働いてくれた勇気ある彼らの名前をクレジットに入れるわけにはいかなかった。

── ポール・ワーグナー(監督)


チベットで得た情報を外に持ち出す事が、どれほど大変か。そして何より重要な事は、普通のチベット人達にとって政治的な状況がどれほど圧迫されているかを、自分の経験によって深く理解しました。電気棒による電気ショックやレイプ、激しい殴打といったものは尼僧たちに対してあたりまえに行われる拷問でした。看守たちのほとんどがチベット人であったという事実も、共同監督のテュプテンが以前に投獄された他の人たちから聞いた話しによるものです。

── ジュリア・エリオット(脚本・共同制作者)




チベットの魂が存在することを決して忘れてはいけない
“風の馬”を飛ばすことかどうかはお前たち次第だ

舞台は1998年、チベットの首都ラサ。幼少期を共に過ごした兄妹のドルジェとドルカ、従妹のペマはそれぞれの人生を歩んでいた。 地元のディスコで歌っていたドルカは将来有望な中国人青年の恋人の助けでレコードデビューを控えていた。一方、兄のドルジェは退廃的な日々を過ごしていた。友人達が政治的な地下活動を続ける中、彼は仕事もなく、毎日ビリヤード場で仲間たちとたむろし、酒に溺れていた。

“風の馬”

幼少期以来、二人は出家した従妹のペマと会うことは無かったが、その再会は残酷なものだった。当局によってダライ・ラマを慕う全ての行為が禁止された事を機に、僧院で密やかに出家生活を送るペマの怒りと不満は爆発し、その意志を表明したことが理由で投獄されてしまった。監獄で拷問を受け、瀕死の状態で釈放されたペマはドルジェとドルカの家に引取られた。たまたまチベットを旅していたアメリカ人旅行者のエミーと出会った彼らは、彼女のビデオカメラに、虫の息の従妹ペマの言葉と姿を記録し、海外のメディアを通じて当局を告発する事を考える。自分に起きた恐ろしい出来事をカメラに語り終え、やがて息を引き取るペマ。しかし、彼らのこうした抗議活動計画は当局に知られてしまう。エミーのビデオカメラは通関で没収され、一家は警察に追われることになるが、ドルカの恋人が彼らの逃亡の手助けを試みる。故郷を追放されたほかの何十万というチベット人たちと合流するためにヒマラヤ山脈を越える時、彼らは山上に吹く風に人々の自由への祈りや希望の描かれた無数の「風の馬(ルンタ)」を飛ばすのだった。

監督・脚本・編集 : ポール・ワーグナー
共同監督・共同脚本 : テュプテン・ツェリン
共同脚本 : ジュリア・エリオット
撮影監督 : スティーヴ・シェクター
編集 : トニー・ブラック
録音 : スキップ・ソレル
出演 : ダドゥン、ジャンパ・ケルサン、リチャード・チャン、テイジェ・シルバーマン、他

1998年 / アメリカ / 97分 / video / カラー / 1:1.85 / チベット語・中国語・英語
原題: WINDHORSE
配給・宣伝:アップリンク