『地球交響曲』シリーズ龍村監督 国分寺 にやってくる!!

『地球交響曲第五番』(2004年)

<small>(C)Jin Tatsumura Office, Inc. </small>このまぎれもない「生命の摂理」を私達ひとりひとりが、日常生活の場で、政治、経済、教育、科学、芸術、文化の場でフト思い出し、ほんの少し生き方を変え、選択を変えることが、病める地球を癒し、健康で豊かな未来を築く鍵になる、というのが映画「地球交響曲」のシリーズの願いでした。このシリーズは、20世紀末の10年間に第一番から第三番まで3本の映画が完成し、観客自身による活発な自主上映活動によって、180万人を越える観客動員を果たしました。

この自主上映活動の動きは、「地球交響曲」の願いが、単に願いにとどまらず、現実的な力になり得ることをはっきりと示しました。そして、21世紀最初の「地球交響曲」第四番が、2001年9月、観客自身が最初からスポンサーになる、という前代未聞の「ひとコマスポンサー」運動に依って完成したのでした。ところが、「21世紀に生まれ育つ子供たちのために」という強い願いをこめてつくった第四番の完成試写会を始めたばかりの2001年9月11日、あの忌まわしい9.11テロ事件が起こったのです。

21世紀型技術文明の象徴だったとも言えるニューヨークの二つの超高層ビルが崩れ去ったあの日から2003年の今日までに世界中で起こった様々な現象を見ていると、世界は、「地球交響曲」の願いとは正反対の方向に突き進んでいるように見えます。

旱魃、洪水、地震、竜巻など頻繁する異常気象、エイズ、エボラ熱、狂牛病、SARSなどの疫病、終わることのないテロ、アフガン戦争、イラク戦争、そして世界不況。このままでは、私達人類は絶滅に向かい、21世紀に生まれ育つ子供たちに耐えがたい苦しみを背負わせてしまうのではないか、という不安さえ覚えます。

しかし、決してそうではない。いや、そうさせてはならない、と私は思います。

今、世界中で起こっている混乱や苦しみは、21世紀の新しい価値観が生まれ出るための「陣痛」の苦しみである、とも言えるのです。自然なお産における陣痛の苦しみは、それ自体は苦しみですが、それを通過することに依って、新しい生命の誕生、という珠玉の喜びが生まれ、母(地球)と子(人類)の新しい愛の形が始まるのです。目の前で起こっている混乱や悲しみに目を奪われパニックに陥ったり、意気消沈してしまうことの方がまずいのだ、と私は思います。

既存の価値観が崩壊してゆく今の時代は、私達ひとりひとりの小さな価値観の変化と、それにともなう小さな選択、行動の変化が、地球規模の大きな変化を起こし得る時代なのです。こんな時代に最も大切なのは、「全ての存在は繋がっている」ということへの信頼と、そこから生まれる安心感です。人と人とはもちろんのこと、人と他の全ての生命、人と物、人と自然環境、人と地球、人と宇宙、そして、人と宇宙創生以来の全ての過去、現在、未来は、具体的、現実的に繋がっている。今、私達、ひとりひとりが行っている全ての営みは、いかに些細にみえることでも、一切が、決して消えることなく、いづこかに“記憶”され、未来の世代、未来の地球、未来の宇宙に繋がって生かされてゆく。

そのことに気付き、謙虚さと共に、勇気と喜びをもって価値観を変え、行動、選択を変えてゆく人々を激励する。これが、「地球交響曲」第五番のコンセプトです。

「全ての存在は繋がっている」

再会と出会い

2003年夏から秋にかけては、かつての「地球交響曲」の出演者達が続々と日本にやって来ました。

まず8月、天河神社の七夕神事にスーザン・オズボーン(第二番、第三番、主題歌)が参列、伝統の能舞台で「アヴェ・マリア」「浜辺の歌」などを奉納しました。

10月に入って、ラッセル・シュワイカート(第一番)が14年ぶりに再来日、14年前とところも同じ広島、原爆慰霊碑の下で「Cosmic Birth(宇宙的誕生)の時代」について語ってくれました。

続いて、10月下旬、ジェームズ・ラブロック博士(第四番)が来日、故野澤重雄さん(第一番)のトマトの巨木を訪ねてくれました。そして、ラブロック博士滞在中にダライ・ラマ法王(第二番)が来日、ダライ・ラマ法王とラブロック博士の夢の「出会い」も実現、さらにダライ・ラマ法王の初めての伊勢神宮正式参拝も撮影しました。

11月には、ジェーン・グドール博士(第四番)が来日、七五三で賑わう明治神宮で名嘉睦稔(第四番)と、未来の子供達についてなごやかに語り合ってくれました。2003年の夏に、これだけ多数のかつての出演者が来日された事には、大きな意味があるように思います。

すでに亡くなった出演者達(野澤重雄、ジャック・マイヨール、星野道夫など)も、この「再会と出会い」の中に再登場することになるでしょう。
誕生と死

母の子宮に宿った新しい生命は、わずか十月十日の間に、母の子宮の中で、およそ40億年の地球の全生命の進化の歴史を通過し、その全記憶を宿しながらこの世に生まれ出ます。ひとりの赤ちゃんが持つ、もはや神秘としか呼びようのない精妙な生命の仕組みは、バクテリアから人類まで、40億年の歳月をかけて、誕生と死を繰り返してきた地球の全生命の「叡智の結晶」なのです。

全ての存在は繋がっている、その視点をもって、「誕生と死」を見つめてゆきます。

出演
アーヴィン・ラズロ/石垣 昭子

声の出演
山川建夫(アーヴィン・ラズロ)/榊原良子(ジェーン・グドール)

ナレーター:榎木 孝明/森田 真奈美
監督:龍村 仁

( ※ 龍村 仁 監督『地球交響曲』公式サイトより)



ひと言

映画(シネマダイアログ)を通じて支援活動ができないだろうか、という想いから5月14日より『地球交響曲』全作品の上映会を行いました(支援金シネマダイアログ)7作品7日間、のべ1,045名の方にお越しいただき、支援金は488,775円集まりました。個人のできることからでも『微力をつなげて大きな力に』というテーマをカタチにすることができたように思います。ボランティアスタッフや告知にご協力して頂いた関係者各位、本当にありがとうございました。その後たくさんのアンケートや感想を頂きましたが、その中に『監督の話を聞いてみたい』という声がありました。国分寺に監督をお呼びすることができるだろうか、、、そんな想いから始まった企画です。貴重な機会になると思いますので、みなさまのご参加お待ちしております。

山本コヲジ

『地球交響曲』
(ガイアシンフォニー)とは

イギリスの生物物理学者ジェームズ・ラブロック博士の唱えるガイア理論、「地球はそれ自体がひとつの生命体である」という考え方に基づき、龍村仁監督によって制作されたオムニバスのドキュメンタリー映画シリーズです。

美しい映像と音楽、珠玉のことばの数々によって織り成されるドキュメンタリー映画『地球交響曲』は、環境問題や人間の精神性に深い関心を寄せる人たちのバイブル的存在となっており、1992年公開の「地球交響曲第一番」から2010年公開の最新作「第七番」まで、草の根の自主上映を中心とした上映活動だけで、これまでに延べ、240万人に上る観客を動員、その数は今なおとどまることなく、かつてないロングランヒット作となっています。

『地球交響曲』作品紹介